オリーブビジネスは生活のために始めたのではない。すべては自分の家族においしいオリーブオイルを食べさせたいという願いから。後にゲストハウスの宿泊客へ提供するようになり評判になった。今では4人の子供たちへ受継がれようとしている。
(中略)
「今だから笑って言えますけど、はじめはビン詰作業も商売もそんなに簡単ではなかったですよ。だって、私たちは全くの素人でしたから」とミルタは当時のことを振り返って言う。「なんでもかんでもインターネットで調べました。」
「私はラミアの出身です」ニコスが妻の言葉を引き継いだ。「しかしコットンとタバコしか植えたことはありませんでした。本を読みあさり、手当たり次第人にたずねました。ある日クレタ島の老人から、剪定バサミの方が肥料よりも役に立つと聞きました。有機農法を始めたばかりでしたから、帰宅するなり即実践です。すると彼の言う通りなのです。のこぎりで剪定すると木に負担がかかるのでしょう。剪定バサミを使った方がよく枝を張るようになり、より甘みのあるオイルがとれるようになったのです。」
(中略)
レスボス島以外でほとんど見ることのない稀少なコロヴィ種(別名:ヴァラノリア)を搾ったイリニ・オリーブオイルのアロマは、共に植えられているハーブ、野生のアーティチョーク、マルメロ、イチジクやビターアーモンドに由来するという。
ギリシャ日刊紙「イ・カシメリニ(kathimerini)」(2010.12.26付) |